自分の子どもへの評価に不満を感じる時

スポーツメンタルコーチ、増田 良子のブログ
自分の子どもへの評価に不満を感じる時

他者からの我が子への評価に納得がいかない時

誰だって自分の子どもはかわいいです。
そうじゃなければ子育てなんてやってられません。
そして他人から自分の子どもを悪く評価されていい気分になる親もいません。

というわけで、今回は自分の子どもへの評価に不満を感じる時のことについてお伝えしていきたいと思います。

■評価の種類

「絶対評価」と「相対評価」、よく耳にする言葉だと思います。
絶対評価とは、特定の基準に基づいて絶対的に評価する方法です。
わかりやすく言うと、他者との比較で評価するのではなく、本人が目標値までどれくらい達成できたかを評価するものです。

それに対して、相対評価とは、ある特定の評価対象である集団の中で、順位や比較によって評価するものです。

どちらにもメリットとデメリットがあるのですが、自分自身を評価するときにも、お子さんを評価するときにも、絶対評価で評価することをお勧めします。

相対評価というのは、誰かと比べて評価するわけですから、出来ている人と比べて落ち込み、出来ていない人と比べて安心するという、不安定な心理状態を生み出しやすいのです。

■スポーツの場面における評価

さてここで、スポーツにおいて考えてみましょう。

陸上競技などは大変わかりやすく、タイムや飛距離などの順位で選出されることが多いと思います。
上位何人という決まりがあれば、それですべて決まります。

チームスポーツではどうでしょうか。
絶対にチームとして勝ちたい大会への出場選手を決める監督になった気持ちで想像してみてください。

例えばサッカーだったら

・A君はいつもパスが正確だから選ぼう
・B君はキーパーとして守備がいいから選ぼう

秀でていると評価している選手をまずは選ぶことになると思います。

・C君とD君が同じポジションで力もほぼ均衡しているから、欠席の少ないC君にしよう
・E君とF君は出席率も同じ、実力も同じだから、返事のいいE君にしよう
・G君とH君はほぼ同じ力を持っているけれど、G君がこの1か月頑張ってここまで伸びたからG君をメンバーにしよう

力の均衡している選手を選ぶときには、同じポジションの選手同士を比較することになると思います。
この時の判断に大きな影響を与えているのは、監督の評価です。
監督の評価が主観的であっても客観的であっても、この評価がすべてということになります。

監督の気持ちになって想像できましたか?
次は別の立場から見てみましょう。

■それぞれの気持ち

「なんで選ばれなかったのかわからない」

一生懸命やっている子どもからすれば、そういう気持ちになるのも理解できます。
力はほぼ同じなのに、なんで僕じゃなくて○○君が選ばれたのか。

「監督が見る目ない」
「監督の好き嫌いだ」

もしかしたら、そんな文句が子どもの口から出てくるかもしれません。
そんな時は監督に対する愚痴を一緒に言うのはNGです。

親が一緒に愚痴や文句を言ってしまったり、その愚痴に乗っかってしまうと、子どもは親に肯定されたことで「やっぱり自分が正しい」と思い、監督に対して不信感を抱き始めるきっかけとなってしまいます。

そのチームで競技を続けていくのなら、監督に対して不信感を抱いてしまうのは、マイナス要素にしかなりません。

あるいは、
「あいつはいつも監督の前でいい顔して選ばれてずるい」
「あいつ、見えないところでサボってるのに」
なんて、ライバルに対しての不満がついつい口をついて出てくるかもしれません。

監督への不満と同様に、チームメイトへの悪口に親が一緒に乗るのはお勧めできません。

誰かの文句を言うことで、自分が上手くなるならいいのですが、決してそんなことはありません。
子どもの悔しかった気持ちを受け止めて、次に向けて頑張れるような声掛けをしたいところです。

ここで、選手に選ばれなかった3人のそれぞれの背景を読んで、それぞれの親の気持ちを考えてみてください。

・D君はC君より3回多く欠席があったものの、それは実は家庭の事情で親に頼まれて休んでいたものであり、出席している時には全力で練習に向き合っていた。休んだ分を取り戻すために自主練もしていた。
・F君はいつも返事をしているが、E君の地声がとにかく大きくてかき消されていた。自分では大きな声で返事をしているが、地声で負ける。E君は声が大きいだけでなく、無駄話も多いので、常におとなしい性格のF君の声はかき消されがちである。
・実は練習後にG君と一緒に自主練をしてあげていたのがH君だった。

それぞれの親として、どのような気持ちを感じますか?

感じ方は人それぞれなので、正解はありません。
なんとなくモヤモヤした気持ちになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これはほんの一例ですが、この事例のようなことは多々あります。

試合に出たくないけど頑張っている、という子は少ないと思います。
みんな出たくて頑張っているので、出られないとなれば、当然悔しい思いも生まれます。
それが僅差なら尚更です。

監督の選手選考について、子どもだけでなく、親も不満を感じる人は少なくないかもしれません。

■親の役割

親は子どもの努力も事情も知っているため、選ばれなかったことを子ども同様に悔しく感じたり、不憫に思ったりすることもあるでしょう。
こんな時、いつの間にか「(子どもが悔しい思いをしていて)親自身が苦しい、辛い、悲しい」などと、同化してしまうことがあります。

これが実は危険です。

冷静な判断より、自分のこの苦しい気持ちを何とかしたい思いが先行し、監督に直接「なんでうちの子が選ばれないんですか!?」と言いに行ってしまう、なんてことが起こります。

チームで子どもがプレーしているのなら、そこは親が口出ししていい領域ではありません。
言い方によっては、ただの「過干渉で過保護な親」と思われて、親にとっても子どもにとっても全くいいことがありません。

では親に出来ることはなんでしょうか。

子どもが「なんで選ばれなかったのかわからない」と言ってきたのなら、その理由を子どもが自分で監督に聞きに行けるように促してください。
わからないなら聞きに行く、納得がいかないなら話に行く、それは子ども自身が超えていかなければならない壁です。

「聞きに行けない」と言うのなら、その理由を聞いてください。
選ばれなかった理由を知りたいのに、聞きに行かないなら、そこにも理由があるはずです。

感情を受けとめて、共感し、なぜそう思うのかを聞くことで、子ども自身に考えさせる、これを繰り返すことで、子どもが自分で感情の処理をすることに繋がったり、次の目標に向けて切り替えるきっかけを作ることが出来ます。

選手選考だけでなく、あらゆる場面において、我が子の評価が納得のいくものでなかった時も同様です。

■最後に

共感することと、一緒に悪口を言うことは違います。

「そういう気持ちだったんだね」「そういう気持ちになるの、わかるよ」などと、親が共感してくれることで、子どもは救われます。

親が理解してくれることで、いろんな感情を持った自分を責めることなく、自分自身を受け入れることが出来ます。

その上で、気持ちを切り替えていく解決方法を自分で導き出すことが出来たなら、今後の人生で壁にぶつかるたびに、乗り越え方を自分で見つけることの出来る人になっていけるでしょう。

他人の評価をコントロールすることは出来ません。

自分が変わるために出来ることを、お子さんが考える機会を得たと思って、親子で向き合ってみてください。

親子ではついつい喧嘩になってしまう時は、ぜひ一度ご相談ください。
他人の評価に振り回されない環境を、子どものために作っていきましょう。

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