今、壁にぶち当たっているアスリートへ

スポーツメンタルコーチ、石井 大樹のブログ
今、壁にぶち当たっているアスリートへ

「どうしてこんな目に…」と思うような壁にぶつかった時

「どうしてこんな目に…」

「自分ばっかりどうして…」

このような経験をしたことが大なり小なりあるかと思います。

私自身も今までの競技人生を振り返ってみると、

「どうして俺だけこんな目に…」

特に、大学でのアメフト経験で、そんな感情を味わったのを鮮明に覚えています。

そんな過去を持つ私も、今ではスポーツメンタルコーチとして、

当時の経験を生かし、悩みを持つアスリートをサポートさせて頂いています。

様々なアスリートと接する中で、

「試合直前にこんなアクシデントがあって…」

「大けがをしてしまった…」

このような相談を受けることもあります。

「どうして俺だけこんな目に…」

「こんな時、どうすればいいんだ…」

本気だからこそ、気持ちが爆発しそうになるもの。

そんな「壁にぶち当たったアスリート」を実際に見てきました。

実際にサポートしている、とある競技で活躍するプロ選手の話です。

この選手は昨年にデビュー戦を国内2位、結果だけでなく内容としても

周囲へ強烈なインパクトを与える活躍で華々しい結果を残しました。

だからこそ、今年はさらなる成長を求め、

意気込んでいたところにまさかの、コロナウィルスの影響で試合が無くなりました。

国内リーグはもちろんのこと、海外の試合にも様々な事情で出場できない状況に…。

自分の努力ではどうしようもないとても大きな壁に阻まれてしまいました。

「今年はもっと良い一年にする予定だったのに…」

「試合がないのにどこを目指せばいいのか…」

日々、その選手とやり取りする中で、ずっとこのような思いを抱えていました。

いつ試合ができるようになるか見えない中でモチベーションも続かない…

そんなとてつもなく大きな壁にぶち当たった状況でも、一緒に考え続けました。

「今、何ができるのか?」

「試合が再開するとしたら、できる最高の準備は何か?」

その結果、その選手は「ファンへの感謝」として、

日々の自分の練習やオンラインでのファンとの交流イベントなどをSNSを通して発信するようになり、今までよりもずっと応援される選手に成長。

さらにはそのタイミングで、海外の試合にも出場可能に。

まさに今までの準備と積み重ねが身を結んだ瞬間でした。

この出来事から、私が伝えたいのは、

「成長しようとする限り、成長にふさわしい壁は必ず訪れる」

ということです。

「もっと活躍したい」

「昨シーズンの自分を超えたい」

このように思うからこそ、その思いにふさわしい壁が訪れます。

多くの人は、ぶち当たった壁に対して、

「嫌だな…」

「壁なんて無ければいいのに…」

そんなマイナスな印象を持ちます。

しかしそんな壁が訪れるのは、あなた自身が成長しようとしているからこそ。

成長しようと、もがき、苦しみながらも試行錯誤しているからこそ壁にぶち当たるのです。

そのように考えてみると、

「ぶち当たった壁」

に対しての印象に、どんな変化が起こりそうでしょうか?

だからこそ、今壁にぶち当たっているアスリートの皆さんには、

「ぶち当たっている壁への捉え方」

それらを変えていって欲しいと思います。

目次

首を大怪我し、全てを投げ出し絶望しかけた大学アメフト2年目

かくいう私も、大なり小なり壁にぶつかっては折れてしまいそうになってきた選手の一人です。

大学アメフト2年目。

怒涛の1年目をなんとか乗り越え、やっとアメフトが楽しくなってきた頃。

春の試合が始まる2週間前にその出来事は起こりました。

「頚椎捻挫」

「脳震盪」

練習中の出来事でした。

目の前が一瞬真っ白になり、

次の瞬間には右半身に雷が降ってきたかのような痺れ。

立っていることなどできず、そのまま倒れたのを覚えています。

どのようにしてその怪我に至ったのかは、覚えていません。

覚えているのは、怪我をした瞬間の感覚だけ。

「どうして俺がこんな目に…」

心の底からそう思ったのを、今でも鮮明に思い返せます。

「やっとアメフトが面白いと思えてきたのに…」

「こんなのあんまりだ…」

そんな感情でいっぱいになっていました。

アメリカンフットボールにおいて、首から上の怪我は致命的です。

コンタクトスポーツである以上、首~頭のダメージは私生活や命にも関わるケースもあります。

つまり、私はしばらくアメフトができない状況となってしまいました。

幸いにも、選手生命を絶たれるところまでは行かず、時間をかけて復帰すればプレーできるレベルの怪我でしたが、

全てがどうでもよくなった私は、気付けば家にひきこもり、大学には行かなくなっていました。

・大学の授業も

・チームのことも

・プライベートも

「全部もうどうでもいい」

それくらい当時の私にとって、

身体的にも、精神的にも大きな怪我であり、ぶち当たった大きな壁でした。

今考えると、怪我をしてアメフトがプレーできなくてもチームのためにできることはたくさんあったなと思います。

家にひきこもった時も、家族へ本当に迷惑や心配をかけました。

しかし、当時の私は、

「自分の気持ちなんて誰も理解できるはずがない」

「実際に絶望した人間にしかこの気持ちはわからないんだ」

そんな風に思っていました。

自分のことしか考えていなかったんです。

誰かのことを考える余裕がなかったんだと思います。

自分の殻に閉じこもり、

ただ毎日をぼーっと過ごす日々。

刺激はなく、とても退屈な毎日でした。

「今この瞬間もみんなは頑張って練習しているんだ」

夕方になるとそんな感情が心の底から湧いてきて、

なんとも言えない気持ちになりました。

もやもやするような、焦るような、熱くなるような、そんな気持ちです。

その気持ちとも向き合わず、逃げてただ引きこもっていました。

どうしてぶち当たった壁と向き合うことができなかったのか?

当時の私は、「自分にはこの一瞬、アメフトしかない」と思って

いました。

・辛く苦しい中でもアメフトを頑張ってきた

・アメフトだけが自分の居場所

自分の頑張る理由が競技そのものになっていたんです。

自分の存在理由を奪われたように感じていたのも、それが理由でした。

大学の授業にも出ず、家族との会話が減ったのも、

自分の存在理由がなくなって、周りとどう接すればいいのかわからなくなっていました。

本当に全てが上手くいかない日々で、不完全燃焼と罪悪感を感じる日々でした。

壁にぶつかったからこそ気付き、見えたものが絶対にある

存在理由をなくしたような状態でも、

・リハビリ

・できるトレーニング

これらを欠かさず取り組んでいたのは、きっとまだどこかで諦めていない自分がいたからだと思います。

怪我の回復もそこそこに、

できるトレーニングを積んでいたおかげで体はできていました。

あとは心の問題。

いざ家を出てグラウンドに向かおうとすると怖くてたまらず逃げたい気持ちでいっぱいでした。

そんな時、ある人から連絡が一本入ります。

「大丈夫?最近学校来てないけど、みんな心配してるよ」

思いも寄らない人からの連絡。

それは同じ学科のクラスメイトからの連絡でした。

当時、私が所属していたのは「栄養学部」。

管理栄養士を目指し、実験・実習・厳しい授業をこなす毎日。

部活との両立が本当に辛く、何度もクラスメイトに助けてもらっていました。

アメフトこそが自分の居場所だと思っていたにも関わらず、

まさかのクラスメイトからの連絡。

今更、みんなに合わせる顔がないことを伝えると、

とても親身になって相談に乗ってくれました。

「自分の居場所は他にもあったんだ」と、

クラスメイトからの連絡で、初めて気付くことができました。

それをきっかけに学校へ行けるようになり、

家族とのコミュニケーションも増えていきました。

その後、アメフトの練習にも参加できるようになっていき、

少しずつですが、ヘルメットをかぶってぶつかる練習にも復帰していきました。

今までの私は、壁にぶち当たった事実を認めたくないと思っていました。

とにかく、向き合うことから逃げていました。

怪我をしたからもう終わりだと、壁にぶち当たったら終わりだと勝手に思い込んでいました。

でも本当にそうでしょうか?

「怪我をしたら終わり?」

「試合に負けたら終わり?」

「壁にぶち当たったら終わり?」

怪我をしたなら治せばいい。

試合に負けたなら次勝てるように努力すればいい。

壁にぶち当たったなら乗り越えればいい。

壁にぶち当たっても、終わりじゃないんだと思えるようになってからは、

少しずつ、前向きに行動し、自分の弱さと向き合うことができるようになっていきました。

そこからリハビリとトレーニングを継続し、シーズン後半から要所で試合にも使ってもらえるまでに回復しました。

そしてなんと昨年リーグ優勝した圧倒的格上のチーム相手に、味方に流れを引き寄せるビッグプレーを発揮。

完全とまではいかないですが、自分でも驚くほどのパフォーマンスでチームに貢献することができました。

確かに、辛く、苦しい思いや経験もしました。

しかし、そんな現役時代にたくさん悩んだ経験があったからこそ、

今の自分が存在し、アスリートを支える原動力になっていると感じています。

ただ、もし…もしも当時の自分の隣に

「もっと早く自分に気付きを与えてくれる存在がいたら…」

「苦しい時、一緒に考えてくれる存在がいてくれたら…」

自分のアメフト人生はもっと違うものになっていたかもしれない…

そんな風に今でも思います。

一人ではダメでも、誰かとならぶち当たった壁と向き合える

「どうして自分ばかり…」

「こんな目にあうなんて…」

そう思ってしまう方に伝えたいことは、

“決して一人じゃない”

ということです。

あなたのことを

・応援してくれる人

・成長を喜んでくれる人

・あなたの喜びを自分のことのように喜んでくれる人

今、頭の中で想像してみてください。

もし、一人でも頭に浮かんだのなら、あなたは一人じゃありません。

ぶち当たった壁に向き合うための味方がいるということです。

確かに、自分の痛みを本当に理解できるのは自分だけかもしれません。

でも、それは一人でいることとは違います。

壁にぶち当たった時も同じです。

一人で壁に挑まなきゃいけないことは無いんです。

誰かの力を借りて、気付きをもらい、助けてもらいながら乗り越えればいいんです。

そして、誰かが壁にぶち当たった時、

今後はあなたが手を差し伸べてあげればいいんです。

冒頭でも伝えましたが、

「成長したい」

「向上心」

そういった気持ちがあるからこそ、壁にぶち当たります。

もし、簡単に乗り越えられる壁が訪れたとするならば、それは壁ではありません。

「ただの段差」です。

大きな壁にぶち当たるのは、それだけ大きな成長を望んでいるから。

“成長しようと思うから壁にぶち当たる”

心からそう考えることができたら、どんな素敵な変化があるでしょうか?

私自身がそうだったように、自分の内側と1人で向き合うのは、本当に勇気が必要です。

だからこそ、

「今より少しでも成長したい!」

「上手くなりたい!」

「もっと競技に集中したい!」

そんなアスリートに寄り添い、アスリートが求めるビジョンに向かい一緒に走る。

そういう存在でありたいと思っていますし、

それを信念として、今も選手のサポートに携わっています。

もしこの記事を読んでくれているあなたが、

「今壁にぶち当たっている…」

「乗り越えられるイメージが湧かない…」

そんな思いを抱えているのなら、是非、私の体験コーチングを受けてみて下さい!

今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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