メンタルコーチとして活動する中で、現役アスリートとの関係をSNSでかもす(匂わせる)ことに迷いを感じたことはありませんか?
メンタルコーチ自身の売り上げのためや信頼関係の証として紹介したくなる気持ちは理解できます。しかし、その利益思考や善意が思わぬリスクを生むこともあるのです。
本記事では、科学的視点と実際の事例をもとに、「なぜSNSで現役アスリートとの関係を発信すべきではないのか?」を5つの観点から掘り下げます。
1. 情報の無意識的認知が選手にストレスを与える(事例:某プロ野球選手)
心理学では「スティグマ(汚名)理論」によって、他者からの視線やレッテルはパフォーマンスに影響を与えるとされています。
あるプロ野球選手は、メンタルコーチとの関係を示唆するSNS投稿がきっかけで、報道陣から不調の原因を“メンタル”に結びつけられ、強いストレスを受けたと後に明かしています。
2. 観察されている意識がメンタル負荷を高める(社会的促進の裏の顔)
社会心理学では「観察者効果(ホーソン効果)」が知られていますが、これは逆に「過剰な注目」がパフォーマンスを阻害するケースも。
実際に、SNSで誰と組んでいるかが拡散された選手が、思うように力を出せず、翌シーズンのパフォーマンスが著しく低下したというケースもあります。
3. 匿名性の攻撃にさらされるリスク(事例:女子サッカー選手の炎上)
SNSは匿名での誹謗中傷が容易です。過去には、女子サッカーの代表選手がメンタルコーチとの関係をにおわせる投稿の後、フォロワーから「メンタルに問題があるのか」と揶揄され、本人が投稿を削除・活動を一時休止したこともありました。たとえ匂わせ程度であっても、選手に不要なリスクを与える可能性があります。
4. 信頼関係の対価を自己宣伝に変えてしまう倫理的リスク
倫理学やコーチング心理学では、支援者と被支援者の関係には非対称性があるとされます。
その非対称性を利用して「実績のためにSNSで紹介させる」という構図は、たとえ双方合意があっても、長期的には信頼関係を壊す恐れがあるとされています。
5. SNSの記録性と拡散性は、引退後のキャリアにも影響を及ぼす
SNSは一度投稿すれば、半永久的に残り続けます。ある選手は現役時代の匂わせ投稿がきっかけで、引退後に企業のメンタル研修講師に招かれた際、「過去にメンタル不調があった選手」として扱われ、仕事が減ってしまったという実例も。本人にとっては冗談の延長でも、将来の機会を狭めることすらあるのです。
結論
私たちメンタルコーチにとっての成果とは、自分の名が知られることではなく、アスリートが安心して競技に集中し、力を発揮できる環境を守ることです。
だからこそ、SNSで「かもすこと」を避けるのは、単なる配慮ではなく、科学的・倫理的に正当なプロフェッショナリズムの表れなのです。

