スポーツメンタルコーチ、石井 大樹のブログ
調子が良いのになぜか結果が出ないアスリートへ
調子が良かったにも関わらず結果を出せなかった大学アメフト3年目
皆さんは、
「調子がいい」
「勢いに乗れている感覚」
にも関わらず、結果は出なかったという経験はありませんか?
多くの人が、調子の良さ、勢いに乗れている感覚によってポジティブになり、
「勝てるぞ」という期待感を感じますよね。
にも関わらず、結果はついてこない…。
「どうして調子が良いのに結果が出ないんだ」と、
「何が問題なんだ」と思い悩んだことはありませんか?
私自身、現役時代に調子が良いにも関わらず、結果を出せなかった経験があります。
「どうして調子がいいはずなのに結果として現れないんだ…」
調子の良さとは裏腹に、とても悩み、心は重く苦しい経験です。
大学アメフト3年目。
責任感もほどほどに、3年目で慣れてきたこともあって、一番のびのびプレーできた1年でした。
当時、私はポジションリーダーとして同じポジションの後輩をまとめる立場にありましたが、さらにディフェンス全体をまとめる“ディフェンスリーダー”として守備全体をまとめる4年生の先輩がおり、さらには、
・キャプテン
・副キャプテン
がそれぞれ4年生の先輩が役割を担っていたため、
「自分がまとめなければ」という責任感もそれほどなく、
ただ自分が思いっきりプレーすることに集中できていました。
「チームのことより自分のことに集中」
自分が良いプレーをすることでチームのためになると思っていましたし、
実際にそれでチームに貢献することができていたと思います。
前年度は数十年ぶりに2部リーグへ降格し、
降格した翌年の1部昇格を掲げて、やる気にも満ち溢れていました。
間違いなく、心身ともに「調子が良かった」です。
しかし、そこである壁にぶつかりました。
それが「調子が良いのに結果が出ない」という問題です。
2月に新チームになり、4月に新入生を迎え、
春シーズンに入り、試合や合同練習が続く中で、勝てるはずの相手に勝てないことが続きました。
「トレーニングもハードに積んできた」
「モチベーションもバッチリ」
「練習もしっかり取り組んでいる」
にも関わらず、勝てない。
「こんなに調子が良いのに、どうして勝てないんだ…」
調子が悪くて勝てない、結果が出ないのは理解できます。
「調子が悪い」という原因が明らかだからです。
しかし、「調子が良い」にも関わらず、勝てない…
結果が出ないという現実に頭を悩ませました。
そんな状況で私は思考を停止させ、
「練習が足りない」
の一言で練習量を増やしましたが、体のケアが追いつかず、膝や腰の故障に…。
「結果が出ない苦しさ」で徐々に頑張る気力をすり減っていました。
「このまま本番の秋シーズンに入ってしまったらどうしよう…」
そんな不安が胸にいっぱいだったのを今でも鮮明に覚えています。
「調子」=「勝敗」とは限らない
明らかに調子は良いはずでした。
やることもやってる。
それなのに、結果が出ない…そんな日々が続きました。
モヤモヤした感情を抱えながらも、春が終わり夏に差し掛かろうとしていました。
当初は調子が良いと思っていた私も、
ここまで結果が出ないと、心の中では、
「自分が調子が良いと思っていただけで、本当は絶不調なのかも」
「調子が悪いから勝てないのか」
そんな風に自分に半分言い聞かせて、強引に納得しようとしていました。
私はチームの守備担当でしたが、
当時の「チームの攻撃陣」の調子は実際に最悪でした。
誰がどう見ても、攻撃陣の調子の悪さは明白。
・簡単な作戦ミス
・流れを引き渡してしまうようなミス
・結果としてなかなか点が取れない
アメフトは似ているスポーツによく「野球」が挙げられます。
攻守がハッキリと分かれているからです。
攻撃側と守備側がキレイに分かれ、それぞれが分業制です。
つまり、点を取られなければ負けることはありませんが、
点を取らない限り、勝つこともできないということです。
守備側である私は、点を取られないようにすることはできても、
直接、得点することはできないため、攻撃陣が点を取れないとストレスが溜まります。
「これだけ守ってるんだから、そろそろ点を取ってくれ…!」
そのくらい、その時のチームの攻撃陣は不調でした。
そんな不安を抱えながらも、春シーズン最後の試合。
しかし、そこで驚きを隠せない事態が起きることとなります。
「相手チームのミス連発により春シーズン初勝利」
驚きを隠せませんでした。
どうして点が取れないのに勝てるのか?
なぜこれだけ調子が悪い攻撃陣でも勝てたのか?
「調子の良し悪し=結果の良し悪し」
そう思っていた私には信じられない光景でした。
後日、その試合を振り返るミーティングにて、あるコーチから言葉をかけられました。
「俺たちの調子は決して良いとは言えなかった」
「ただ、それ以上に相手の調子が悪かった」
「それが、今回勝てた理由だな」
そう声をかけられました。
言われてみれば、当たり前のことです。
自分たち以上に「相手の調子が悪かった」ただそれだけ。
しかし、「調子が良ければ結果がついてくる」と思い込んでいた私には衝撃的な言葉であり、大きな気付きでした。
「調子が良くても、負けることがあるように」
「調子が悪くても、勝てることもあるんだ…」
そう思えた一戦でした。
今までの私は、
「調子が良いから結果は出る」
「調子がいいから勝てる」
チーム全体を見ず、自分のことばかり考えていたからこそ、
無意識にそんな風に思っていました。
「調子が良くてもそれ以上に相手の調子が良ければ負けることもある」
「調子が悪くてもそれ以上に相手の調子が悪ければ勝つこともある」
この気付きによって、
少しずつ、「調子」への考え方が変わっていきました。
・「調子」にこだわらず、やるべきことを積み重ねる
・ただ目の前のできることに集中する
調子がどうとかよりも、こういったことを意識して取り組んでいきました。
少しずつではあるものの、
結果がどうだったかより、決めたことや意識していたことができたかどうかで振り返りを行えるようになっていきました。
気づけば、
「調子が良いのに…」という言葉を使わない自分がいました。
その結果、
“本番の秋シーズン、6勝1敗で昇格をかけた入れ替え戦へ”
“個人としてもハイパフォーマンスを安定して発揮しチームに貢献”
勝利し、1部昇格こそできなかったものの、
調子に悩まされていた過去の自分とは見違えた内容の試合になりました。
悔しさはもちろんありましたが、
それと同じくらい、自分自身の変化を強く実感することができた経験でした。
確かに、苦しい思いや大変な経験もしました。
しかし、そんな現役時代に本気で悩んだ経験があったからこそ、
今の自分が存在し、アスリートを支える原動力になっていると感じています。
ただ、もし…もしも当時の自分の隣に
「もっと早く自分に気付きを与えてくれる存在がいたら…」
「苦しい時、一緒に考えてくれる存在がいてくれたら…」
自分のアメフト人生はもっと違うものになっていたかもしれない…
そんな風に今でも思います。
「調子」にこだわることは「調子に振り回される」ことでもある
「調子が悪いから結果が出ないかも…」
「調子が良いから結果に繋がるかも!」
それは裏を返せば、
「調子次第で結果が決まる」
そう言っているのと同じです。
私自身、ここまでに綴った過去を持つからこそ、今ではスポーツメンタルコーチとして、
当時の経験を生かし、悩みを持つアスリートをサポートさせて頂いています。
様々なアスリートと接する中で、
「調子が悪いんです…」
「調子が良いのに結果が出ないんです…」
このような相談を受けることもしばしば。
そんな「調子に振り回されてしまうアスリート」を実際に見てきました。
実際にサポートしている、とある競技でジュニアで全日本2位にもなったことがある選手の話です。
この選手はジュニアでは勝ち続け、結果を残してきました。
しかし、コロナ禍で環境が代わり、カテゴリーが上がり、途端に勝てなくなってしまいました。
「ここ数年、ずっと調子が悪いままなんです…」
これがその選手の中で大きな悩みであり、それがきっかけで私とのメンタルコーチングがスタートしました。
「調子」について二人でとことん深掘りして話し合いました。
「調子が悪いと、本当に良いプレーができないのか?」
「逆に、調子が良い時は100%勝ってきてるのか?」
「そもそも調子って何だろうか?」
自分のパフォーマンスにブレーキをかけてる思い込みについて、
じっくり向き合っていきました。
その結果、
「調子」への捉え方が少しずつ変わり、
自分の成長を一つずつ認めていけるようになりました。
先日の試合でも、優勝こそできなかったものの、関東大会まで駒を進めることができました。
そんな素晴らしい変化を現在進行形で、隣で見守っている最中です。
この出来事から、私が伝えたいのは、
「調子任せになることは、調子に振り回されてしまう」
ということです。
「調子が良ければ、勝てる」というのは、言い換えれば、
「調子が悪ければ、勝てない」のと同じです。
そもそも、自分で読めない調子の波次第で結果が決まるなら、
それは再現性のない結果です。
もし「調子に振り回されない自分」になれたら、どうですか?
今までにも、
・調子が良い時
・調子が悪い時
たくさんあったと思います。
調子が良い時に負けたことも、
調子が悪い時に勝てたこともあったはずなんです。
だからこそ良いときも、悪いときも、
いつも通りの自分を貫くことができたら、いかがでしょうか?
「調子」とは自分だけの物差しである
「調子が悪い…」
「調子が良いのに勝てない…」
そう思ってしまう方に伝えたいことは、
“調子の良し悪し=結果の良し悪し”ではない
ということです。
結果とは、相手ありきです。
調子とは、自分だけの物差しです。
だからこそ、
目の前のやるべきことに集中し、
調子に振り回されない自分になれたとしたら、
どんな素晴らしい変化があるでしょうか?
過去の私自身がそうだったように、自分の内側と1人で向き合うのは、本当に勇気が必要です。
だからこそ、
「今より少しでも成長したい!」
「上手くなりたい!」
「もっと競技に集中したい!」
そんなアスリートに寄り添い、アスリートが求めるビジョンに向かい一緒に走る。
そういう存在でありたいと思っていますし、
それを信念として、今も選手のサポートに携わっています。
もしこの記事を読んでくれているあなたが、
「調子が良いのに結果がついてこない…」
「調子が悪いまま…」
そんな思いを抱えているのなら、是非、私の体験コーチングを受けてみて下さい!