スポーツメンタルコーチ、増田 良子のブログ
スポーツを頑張る子どもと親御さんのための距離感の話
スポーツをする子どもと親の距離感について
親であればきっと誰でも、自分の子がスポーツで頑張っていたら、応援すると思います。上手くなって欲しいと願うでしょうし、強くなって欲しいとも思うでしょう。
大会などで活躍できる選手になって欲しいと思う方も多いでしょうし、日本代表になって欲しい、プロを目指して欲しいと考えている親御さんもいるかもしれません。
今回はスポーツを頑張る子どもと親の距離感についてお伝えしていきたいと思います。
■親の期待
子どもに期待することは悪いことではありません。
親だったら期待するのは当然とも言えます。
自分の子どもが活躍してくれたら、もちろん嬉しいですよね。
「うちの子が活躍していてイライラする」という親はなかなかいないと思います。
でも期待が大きすぎると、ただのプレッシャーになっていきます。
みなさん、「身代わりアスリート」という言葉をご存じですか?
親が果たせなかった夢を託されている子どもたちのことです。
「自分は甲子園に行けなかったから子どもには甲子園に行って欲しい」
「プロ選手になる夢をあきらめたけど、子どもには頑張って欲しい」
「自分はレギュラーになれなかったけど、子どもにはいつもレギュラーでいて欲しい」
熱心な親ほど陥りやすいので、気を付けたい状況です。
親の期待が大きすぎて、プレッシャーを感じながらプレーするので、のびのびと競技を楽しむことが出来なくなってしまいます。
また、「失敗すると怒られる」という思いを持つようになり、親や指導者の目を気にしながらプレーをするようになり、失敗を恐れ、チャレンジが出来なくなっていきます。
そうなってしまうと、本来持っているはずの能力の成長を妨げる結果にも繋がりかねません。子どもにとっても親にとっても、そんな不幸なことはないですよね。
子どもの人生の主役は、子ども自身です
子どもがのびのびと競技に向き合える環境を作っていきたいものです。
「好きこそものの上手なれ」
楽しいと思っている子は、どんどん伸びていきます。
■過保護と過干渉
・過保護になってはいませんか?
忘れ物がないか心配で、子どもが練習に行く前の準備を、せっせとやっている親御さんはいませんか?
確かに忘れ物があると、出来るはずの練習が出来なくなったり、子ども自身が困る状況が必ず生まれます。
水筒を忘れて水分補給が出来なかったらどうしよう…
スパイクを忘れて練習に参加させてもらえず、泣きながら見ているだけになったらかわいそう…
ユニフォームを忘れて試合に出してもらえなかったら…
どの状況も、親としては想像するだけで「何とかしてあげたい」と思いますよね。
私自身にも、子どもが小学校低学年のまだまだ小さい時は「大丈夫かなぁ」と心配で気になって、帰ってくるまでずっと心が落ち着かなかった経験があります。
でも考えてみてください。
自分のための練習に向かうのに、全ての準備を親がやっていたら、その子は準備の仕方をいつ覚えるのでしょうか?
忘れ物があった場合、自分の責任だと思わない子に育ってしまうのではないでしょうか?
失敗したっていいんです。
失敗しながら覚えていくんです。
スパイクを忘れて練習が出来なくて悲しい思いをしたら、次からは忘れないように気を付けるようになります。
お弁当が必要な時にお弁当を忘れてしまい、誰かが分けてくれたら、次に誰かが忘れたときに助けてあげられる子になります。
雨の日の着替えを忘れて寒い思いをしたら、次からは持っていこうと考えられるようになります。
何から何まで親が準備してしまうと、そういう機会を奪ってしまうのです。
「転ばぬ先の杖」で転ばないようにしてあげた先に待っているのは、自立できない未来です。
実はスポーツをするにあたって、「自立」や「自主性」は大変重要な要素になります。
どんな競技においても、自分自身で判断しなければいけない状況が多々あります。
そのたびに、誰かに指示を仰いでいては、判断が間に合わないのです。
自分のことは自分でやる
自分のことは自分で判断する
忘れ物などの失敗をしたら素直に謝れる
助けてもらったらありがとうと言える
こういう当たり前のことが、当たり前に出来るような人に育って欲しいですよね。
・過干渉はやる気を奪う
練習や試合を観て、ついつい「あそこはもっとこうすれば」とか、「どうしてあそこであんなミスしたのか」とか、「ああいうときにはこうしないとダメだ」など、言いたくなっちゃう親をたくさん見てきました。
コーチじゃないのに、帰りの車中でも、家に帰っても、指導してしまうのです。
そういうことが繰り返されるたびに、子どもの心の中には「親に見に来てもらいたくない」という感情が少しずつ、でも確実に積もっていきます。
初めのころは、あんなに見に来てくれることを喜んでいたのに。
親としては、少しでも良くなって欲しい、上手くなって欲しい、いい結果を出して欲しいと、「子どものために」やっているつもりなのですが、子どもにとってはどんどん苦しくなってしまうことがあります。
指導者が言っていることと、親が言っていることに違いがあったときはもう最悪です。
板挟みになって、どっちの言うことを信じたらいいのかわからなくなってしまいます。
指導者がいるのなら、指導者に任せる、育ててもらう、そういう気持ちを持つことが大切です。
親が指導者を兼ねている場合は、競技中と生活は切り離すことや、他にコーチがいる場合は自分の子どもに対しては他のコーチから声をかけてもらうなど、ルールを決めることをお勧めします。
■親に出来ること
では、親に出来ることは何なのか、ということになります。
それは「見守る」ということです。
何度も言いますが、子どもの人生の主役は、子ども自身です。
親が奪っていいものではありません。
競技が「やらされている」ものでなく、「やりたくてやっている」方が、成長できます。
「親が喜ぶからやっている」のではなく「自分自身のためにやっている」方が、子どもの人生が幸せなものになります。
また、親は時々子どもに対する期待や心配が大きすぎて、自分の問題のように捉えて関わってしまうことがあります。
子どもが怒られたら自分が怒られたような気持になってしまったり、子どもが落ち込んだら自分まで落ち込んでしまったり。
完全に親子の距離感を見失ってしまっている状態になっているわけですが、自分ではそのことに気付けないことが多いです。
親と子は別の人間であることをしっかりと自覚し、どんな状況にも一喜一憂することなく、見守ってください。
そして、良かったところや成長できているところ、頑張っているところをちゃんと見つけて、褒めてくださいね。
どうしても口を出してしまう、どうしても必要以上に手伝ってしまう、そんな自分に気付いたけれど変えられない…
そのような時にはご相談ください。
親が変われば子は変わります。
子どもと一緒に成長していきましょう!!
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