スポーツメンタルコーチ、杉村康之のブログ
キャプテンについて考える
今回はチーム競技に関わるアスリートの皆様に向けて、より良いチーム作りにおける「キャプテン」のあり方について考えてみようと思います。
「キャプテン」以外の方もキャプテンについて考えることはチーム力向上に役に立つので、参考にしてみてください。
キャプテンって何だろう
「キャプテン(captain)」は辞書的にいうと「集団の統率者」であり、軍隊やスポーツで用いられることが多く、頭にcap-がついていることから、「まとめ」のニュアンスが含まれています。
ということで、端的に言うと「集団のまとめ役」といえるポジションとなります。
あなたはこれまで、様々なタイプのキャプテンと出会ってきたと思います。
「近寄りがたい」「熱い」「優しい」など様々なキャプテン像があったと推察されます。
当然ながら、「これが正解」というキャプテン像はありません。
それぞれキャプテンが持つ個性を活かしてチームをまとめることが大事です。
とは言いつつも、チームをまとめるうえで、ポイントはあると思います。
そこで、自分の意見としてキャプテンはここに注目すると良い、と思う心がまえを3つに絞り、以下に示してみます。
① 完璧を求めない
② 受容する心
③ 客観視する
以上、3つの点について順に自分の意見を述べていきます。
① 完璧を求めない
まず、キャプテンというと何でも秀でてなくてはならないと思うあまり、自分を追い込んでしまう人がいます。
さらに、自分に完璧であろうとすることは、得てして他のメンバーにも完璧さを求めて、チームメンバー間の関係がギクシャクすることにも繋がります。
また、必ずしもキャプテンはチームに君臨してリスペクトされなくてはならない、ということはありません。
むしろ、チームメンバーに信頼してもらうためには、君臨するよりも、自ら積極的に自分の「人となり」を自己開示して信頼関係を構築していくのが望ましいです。
自分の苦手な事や失敗談など「弱み」も心を開いて積極的に自己開示して話すと、聞いている方は信頼感を持ちますし、自分も心の内を話そうという気になります。
自分をつくらずに等身大で誠実にメンバーに接することが、まずはメンバーから人としての信頼感を得る第一歩です。
私自身、会社の体験でも思い当たることがあります。
転勤で職場が変わった際、分からないことだらけでした。
しかし、部下に些末なことを聞き「できない上司」に思われるのを恐れ、聞くことができず、ストレスを貯める日々でした。
しかし、ある時、仕事の回らなさが限界で、「一人で思い悩むのはやめよう」と開き直って部下に聞いてみました。
そうしたら、こと細かに教えてくれて、自分の捉われに気づかされました。
自分の捉われが、チームの業務を停滞させていたことに気づきました。
自分の例のように、自分の弱みを見せないことに努力することは、チーム内のパフォーマンスを下げる原因にも繋がります。
なので、自己開示等を通じてまずは、キャプテンと他のチームメンバーとの信頼性構築に努めましょう。
そして、キャプテンだからと言って全部ひとりで背負いこむことはありません。まずは、ポジションや学年別など、それぞれのカテゴリーのサブリーダーとは何でも話し合える関係性を作りましょう(なければ、その役割の人を見つけてみましょう)
このサブリーダーとの信頼関係がチーム全体の信頼関係のひな形となり、相似形となると考えると良いでしょう。
そして、チーム全体の運営においては、サブリーダーに任せるところは任せて、サブリーダーの長所を活かして役割分担をしていくことが理想です。
② 受容する心
一言で言えば「受け入れること」を目指しましょう。
チームは人の集団であるので、様々な意見が出てきます。その意見を一旦は聞くことが大事です。
聞いたうえで賛同するかはまた別で、一旦は受け入れる、すなわち受容する姿勢がメンバーに「この場所にいていいのだ」という帰属心の芽を育みます。
そして、気をつけなくてはならないのは、目立つレギュラークラスの選手のみ見ているだけではチーム力はあがりません。
控えの選手、チームスタッフの気持ちがまとまることが、強いチームの特長としてあげられます。
以前、サッカー日本代表のゲームキャプテンを務めた長谷部誠選手はゴールした後、真っ先にチームベンチに走って控えの選手に喜びを伝えるということを取り入れ、代表チーム全体のモチベーションを上げることに成功しました。
長谷部選手のチーム全員を思いやる気持ちが表れたエピソードです。
全メンバーに「自分たちのチーム」と思ってもらうこと、最近ではこれを形容して「“same page”を見る」という言い方をすることがあります。
みんなで、目標に向かって同じページを見ることが大事である、という意味です。
チーム全体で“same page”を見るため、キャプテンにはメンバー全員に受容の心を大切にして接すると良いでしょう。
③ 客観視する 普段のチーム状態や試合において、「流れ」がマイナス方向に向いている時、キャプテンが「流れ」の渦に入ってしまうと、チーム全体が文字通り「流されて」しまうこととなります。
普段から、渦中から一歩引いて冷静に判断することを心掛けましょう。
言わば、今のチームの流れを変えた方が良い際にいち早く気づくことが大事です。
先に述べたサブリーダーもしくはその役割にある方々の意見も参考にしましょう。
そして、試合中の判断を焦らず冷静にするためには、普段、オフザピッチでの心掛けが大事です。
普段の生活から何か「まずいなあ」と思った際は、焦らず冷静に「今自分ができることのうち、最善な選択は何だろう」という思考の練習をしてみましょう。その思考を習慣化することが、実際の試合に生きてきます。
キャプテン経験を通じての成長
以上、キャプテンの心がまえについて、書いて来ました。
さて、キャプテン経験って人生に役立つのでしょうか。 自分はキャプテン経験の中には人生において、大事なことが満載だと思っています。
一例としては
・他人の目で世界を見る
・人を受容する
・客観的に冷静な判断をする
などが今まで述べてきたことで、どれも今後生きていくうえで大事な要素です。
他にも
・見通して計画する力
・自己を表現する力
・決断する勇気
など、人として鍛えられることは枚挙にいとまがありません。
そして、何よりもキャプテン経験を通じて「自分はどんな人間で何をしたいのか」を考えて、自分自身を見つめることが、大事な経験だと思います。
以上「キャプテン」について述べてきました。
私はメンタルコーチとして、チームの中でキャプテンの選手や、キャプテンの心を理解して自己とチームの成長をしたい選手のサポートにおいて、取り入れられることはないか、日々考えております。
自分のサポートを通じて、選手の皆様により有意義な競技経験をしてもらいたいと考えている次第です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
以上
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