スポーツメンタルコーチ、石井 大樹のブログ
本番に苦手意識を持っているアスリートへ
どうして本番に苦手意識を持ってしまうのか?

「本番になると力を発揮できなくなる…」

「どうしても本番に苦手意識がある…」

私自身も、現役時代は本番に良いイメージを作ることができない時期が続き、とても悩んだ経験があります。

「練習ではできてることが、試合になるとできなくなる…」

こんな出来事がしょっちゅうありました。

そんな過去を持つ私も、今ではスポーツメンタルコーチとして、プレーする側から

プレーする選手を支える側として活動しています。

様々なアスリートと接する中でも、

「練習では良いのに、本番になると途端に崩れてしまう」

そんな選手を見てきました。

改めて、「本番への苦手意識に悩むアスリート」は過去の自分だけじゃないんだと思い知る場面でもありました。

実際に私が今もサポートしている、ある競技のプロ選手がいます。

その選手は、練習では海外の選手にも引けを取らないような力を発揮する一方で、

本番では、プロレベルではあまりしないようなミスをしてしまったり、

チームとの連携が取れないような状況でした。

能力はあるものの、なかなか試合で起用してもらえない…

起用してもらえないから試合で活躍することもなく、

活躍するイメージも湧かない…

そんな選手を実際に見てきました。

このように、本番と練習という違いで力を思うように発揮できないのは本当に苦しいですよね。

本番だからこそ、力を発揮したいのに、それができない…

しかし、ここで思い返して欲しいのです。

みなさんが競技を始めた当初、

本番に苦手意識を持っていましたか?

おそらく、多くの方が始めたての時は苦手意識を持っていなかったはずです。

本番への苦手意識はどのタイミングで身についてしまったのでしょうか?

強豪に叩きのめされ苦手意識が芽生えた大学アメフト1年目

かくいう私も、本番への苦手意識を強く持っていた人間の一人でした。

大学アメフト1年目の秋シーズン、

有難いことに入部1年目から、スターターとして試合に出させてもらっていました。

しかし、当時のリーグ編成は強豪ひしめく1部リーグの中で、

私が所属していた大学の順位は毎年下から数えた方が早い状況…

なんとか下の入れ替え戦を回避し続けるような状態でした。

そんな中で、とある試合がキッカケで私は本番への苦手意識を持つことになります。

某大学との一戦。

当時の1部リーグでも3強に入るチームとの試合で、ある出来事が起こりました。

「最悪の内容で大敗」

今でも忘れませんが、

その日は台風が近付いていて、雷が鳴り始めたため、途中までのスコアで試合終了になりました。

それが不幸中の幸いだと、思うくらい心身ともにボコボコにされたのを今でも覚えています。

私は“ラインバッカー”という守備の要とも言えるポジションを担っていました。

ランプレーにもパスプレーにも絡むような、いわゆる“何でも屋”のような役割です。

自分より早い相手ともマッチアップしますし、

自分より大きく強い相手を処理してから、ボールを持っている選手をタックルしなければならないポジションになります。

そしてその日、某大学のオフェンスチームに完膚無きまでに叩きのめされました。

守備の要である自分が為す術もなく叩きのめされると、どうなるか?

守備は崩壊します。

毎プレー同じことをやられ続け、天候が最悪の中、得点され続けました。

「相手のプレーが止まらない現実」

「それによって得点され続けている現実」

「自分より体重が30kg以上重い相手に、文字通り、叩きのめされ続ける現実」

心身ともにボロボロになった私は、

その日初めて、試合中に泣いたことを今でも鮮明に覚えています。

自分が情けなくて仕方なかったです。

しかし、それ以上に

「早くこの試合が終わってしまえばいい」

心の底からそう思ってしまう自分がいました。

先ほどもお伝えしたように、毎年ギリギリの戦いを強いられていた私たちは、

部員数が少ないのもあり、一人ひとりが意識を高く持ち、ケガなく戦い切ることが強く求められていました。

にも、関わらず私は完全に戦意喪失していました。

これっぽっちも戦おうという気が湧いてきませんでした。

「もう試合に出して欲しくない」

とすら、思っていました。

さらに試合終了後、私を待っていたのは4年生の先輩からのダメ出しでした。

「お前のせいで負けた」

この一言を受けてからのことはあまり覚えてません。

この試合以降、練習では悪くなくとも、

本番で力を発揮できなくなっていきました。

タチが悪いことに、

リーグ戦ような順位に関わる大切な試合だけでなく、

練習試合でも思うように力を出せなくなっていきました。

好きで続けてきたはずの競技がどんどん楽しくなくなっていき、

ただ辛いものに変わっていくまでに、そう時間はかかりませんでした。

失敗することが問題ではなく、失敗から学ばないことが問題

「もう試合に出して欲しくない…」

そんな気持ちのままシーズン後半を戦うことに。

チームの順位が変わるような大切な試合に出ることで、

また大きな失敗を繰り返してしまったらどうしよう

また自分のせいで負けるかもしれない

本番を意識することで、どうしてもそう思ってしまう自分がいました。

結局、大学アメフト1年目の当時のシーズンは最後まで前向きな気持ちで戦えませんでした。

気付いたらシーズンが終わっていて、恐怖の対象であった先輩も引退しました。

正直、ホッとした気持ちが大きく、

「ようやく解放されるんだ…」

そんな気持ちでした。

その後、オフシーズン中にひとつ上でいつもお世話になっていたK先輩と、

今後の課題を明確にするために、

私が本番に苦手意識を持つキッカケとなった試合のビデオを見返すことに。

そこで衝撃の事実が発覚します。

当時、強豪校にボコボコにされ、大量得点された理由は、

私がマッチアップした相手に一方的に叩きのめされ、

ミスを連発、役割を果たすことができなかったことが理由だと思っていました。

しかしなんと、大量得点された理由は、

私に試合後、ダメ出しした先輩のミスが原因だったのです。

本番に対しての苦手意識が芽生えてしまうほど、

心身ともに叩きのめされ、大敗した試合の原因が自分ではなく、

私にダメ出しをした先輩のミスが原因だった…

この事実を知った時、怒りにすらならない感情が込み上げてきました。

しかし、一緒にビデオを見ていたK先輩からのある一言で目が覚めます。

「でも、お前のプレーへの理解力があれば、自分のミスじゃないって気付けたかもな」

「プレーに対して理解度が高ければ、お前自身が試合の流れを変えられたかもな

…まさにその通りでした。

目先の本番に囚われてしまい、自分に本当に必要なことを蔑ろにしていました。

・相手の分析

・知識、理解力の向上

確かにプレーのスキル、フィジカルは一朝一夕で高まるものではありません。

しかし、相手の分析や知識を知るということは、行動すれば今すぐにでも高めることができます。

本番への苦手意識から、プレー自体も消極的になり、

視野が狭まり、周りが全く見えていませんでした。

周りどころか、自分自身に必要なものすら見えていませんでした。

それを毎試合、失敗から学びもせずに1シーズン繰り返してしまっていました。

「いかに失敗せずにやり過ごすか」

当時の私は、そこにばかり目が向いていたのです。

しかし、今考えると、その物事への捉え方こそが自分の首を絞めていたと思います。

なぜなら、失敗しない人間はいないからです。

どんな競技のトップ選手でも、今まで失敗をしたことがない人はいるでしょうか?

どんなに優れたトップアスリートも失敗した経験を持っています。

失敗をしない人間はいないからこそ、失敗から学ぶことが大切です。

過去の私は、失敗することは悪だと思っていました。

今考えれば、そのプレッシャーから逃げるために

本番への苦手意識が生まれてしまったように思います。

本番がなければプレッシャーを感じる必要もないからです。

しかし、本当に問題なのは失敗をすることではありません。

本当に問題なのは、失敗から学ばないことなのだと、K先輩の言葉で私が気付くことができました。

本番も練習も「全て次に繋がる経験」

K先輩からの言葉によって、本番に対して少しずつ考え方が変わり始めていきました。

そして、ある疑問が頭の中に浮かび始めるようになりました。

「本番とはなんだろう?」

「練習とはなんだろう?」

本番とは、何を持って本番なのか。

練習とは、何を持って練習なのか。

本番と練習の定義について疑問が生まれるようになりました。

本番はミスが許されないが、練習ではミスが許されるのか?

もし、そうならそれはどうしてなのか?

そんな風に本番と練習について考えるようになりました。

そこで気付いたことは、

「本番も練習も関係なく、次に活かせたらどうだろう?」

本番も、練習も、どちらも自分の中に「経験値」として蓄積されていきます。

その経験値を、

ただの失敗で終わらせるのか…

学び、次に活かすのか

それは自分次第です。

「本番でうまくパフォーマンスが発揮できなかった…」

という出来事に囚われてしまうのではなく、

「その経験から次に活かせることは何か?」

少しずつ、このように考えることができるようになりました。

その結果、2年目のシーズンでは、

1部リーグ優勝争いをするチームや、格上のチームに対して、

チームに流れを引き寄せるファインプレー

相手オフェンスの流れを断ち切るプレー

本番の大切な試合でも、そういった動きができるようになっていきました。

辛かった出来事も、今振り返ると、その経験があったからこそ、

自分は成長できたなと感じることができます。

しかしあの時、

「もっと早く自分を客観的に見てくれる存在がいてくれたら…」

「本番に対する苦手意識と向き合う勇気をくれる人がいたら…」

1年目のシーズンも結果はもっと違うものになっていたかもしれない…

そんな風に今でも思います。

苦手意識を変えようとするより、苦手意識と向き合うことから始めよう

もし、皆さんが

本番への苦手意識をどうにかしたい

と願うのなら、

本番への苦手意識を変えようとするよりも、

本番への苦手意識という「気持ち」と向き合って欲しいと思います。

スポーツメンタルコーチとして、

様々なチーム、アスリートと接する中で感じることは、

「~だと思ってはいけない」

「~のように感じたら負け」

というように、自分の中の感情を否定してしまう人が多いです。

どこかで、本番が苦手だと思っている自分を認められなかったり、

受け入れたくないという自分がいるかもしれません。

しかし自分の持つ感情も、自分の一部です。

自分の感情を否定することは、

自分を否定することと同じです

本番が苦手な自分を否定し続けたら、どんな未来になっていくでしょうか?

では逆に、

自分の苦手意識とトコトン向き合い、

本番が苦手な自分も受け入れることができたら、

どんな素晴らしい変化が起こりそうでしょうか?

自分の内側と一人で向き合うのは、本当に勇気が必要です。

だからこそ、

「今より少しでも成長したい!上手くなりたい!」

そんなアスリートに寄り添い、アスリートが求めるビジョンに向かい一緒に走る。

そういう存在でありたいと思っていますし、

それを信念として、今も選手のサポートに携わっています。

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