スポーツメンタルコーチ、増田 良子のブログ
親が自分自身の人生を生きる
子どものことが大切だからこそ親は自分の人生を生きる
子育て中はついつい何もかも子どものことが優先になりがちです。
子どもが何かの競技に真剣に打ち込んでいる場合は、より一層その傾向が強くなります。
今回は、親が親自身の人生を生きることの大切さについてお伝えします。
■アスリートの子どもたちのサポート
子どもがなんらかの競技に真剣に打ち込んでいる場合、いろんなサポートが必要になりますよね。
指導を受けに通っているのであればそこにお金がかかる。
道具が必要な場合はそこにもお金がかかる。
自分でいけない場所まで通っているなら送迎が必要な場合もある。
練習のサポートを親が当番で行う場合もある。
怪我をすれば通院に付き添う必要もある。
怪我していなくても身体のメンテナンスが必要であればそれもお金がかかる。
競技に必要な服や衣装は成長に合わせて買い替える必要がある。
大会などは応援に行って写真やビデオも撮りたい。
チームによっては遠征時の車出しが必要な時がある。
競技に合わせた身体作りのための食事を作る。
そのほかにもいろんな小さいサポートが必要になることがあります。
大事な我が子が一生懸命向き合ってることですから、親だって一生懸命になります。
送迎や付き添いが大変でも、出来ることをやってあげたいと思って親も頑張ります。
当番などが面倒だと感じても、子どものためだから頑張れます。
成長と共に、送迎の必要などはなくなって行きますが、継続するサポートは多く存在します。
■熱心な親ほど見失う
これだけのサポートを日々やるのは、一見大変そうです。
ですが、子どもが競技を始めた時から親も競技への理解が進み、少しずつ少しずつやることが増えていって、いつのまにかたくさんのサポートをしているという状況なので、やっている親自身は、そんなに大変には感じません。
遠方への送迎や、怪我の際の通院など大変な場合も、必死に向き合っていると乗り越えられちゃうことが多いです。
後から考えた時に「あの時自分よくやってたな…」と思うひとも大勢います。
必死に向き合ってるから、親もいつのまにか子どもの競技中心の家庭生活になっていきます。
平日仕事をしているひとも、週末は全部子どものスポーツに使うことになるという状況も多く見られます。
子どもが一生懸命やっていることをサポートし、応援し、子どもが成長していく姿を見られることは親にとって最高に幸せなことです。
試合を観に行くのは楽しいし、子どもが悔しくて泣いたり、勝って喜んだりする時に、同じ気持ちを共有出来るのは本当に素晴らしいことです。
ところが、子どもの競技のサポートに夢中になるあまり、自分自身のやりたいことや、趣味などが知らないうちに無くなってしまう場合があります。
子どもの競技サポート=自分のやりたいこと、趣味
熱心な親御さんほど、この式が成立します。
決して悪いことだと言いたいわけではありません。
これくらいの熱意を持ってサポートされた子どもは、本当に幸せな環境で競技に向き合わせてもらえてると思います。
しかし、子どもは成長していきます。
競技から卒業する時が来るかもしれない。
競技を継続するとしても、親元を離れて自立するかもしれない。
それはつまり、ある日突然、やることがなくなる日がやってくる、ということです。
■からの巣症候群
「からの巣症候群」をご存知ですか?
大切に育てていたヒナが巣立ち、空になった巣のように、必死に向き合ってきた子育てから急に解放されて、心に穴が開いてしまうような状態です。
何をしたらいいかわからなくなったり、寂しくて涙が出たり。
まさに自分が「からっぽ」になってしまうんです。
アスリート自身の「燃え尽き症候群」にも似ています。
熱心に子どもの競技に向き合ってきた親ほど、「からの巣症候群」になりやすいです。
実際に私の知人にも、経験したひとがいます。
子どものスポーツをサポートするのも大好きで、練習を見るのも試合を見るのも楽しみでした。
頼まれてもいないのに対戦チームの分析までしちゃうくらいの熱量で、とにかく子どもの競技に子どもと同じ熱心さで向き合い、生き甲斐のようになっていました。
高校卒業と同時に、競技を辞めることを子どもが決めました。
子どもの決意に意見をするような親御さんではなかったので、その決意を受け入れ、よくこれまで頑張ってきたね、と子どもにも伝えましたが、実際に子どもが卒業し、大学生活のために一人暮らしを始めた途端に突然「からっぽ」に襲われました。
子どものために作っていたようなものだった食事を作る気力が出ない。
ユニフォームや練習着のない洗濯物をする気になれない。
日中は仕事に出てなんとなく過ごせるけれども、気を抜くと意味もなく涙が出る。
週末は何をしたらいいのかわからない。
明るく元気なひとだったので、3ヶ月くらいで元気を取り戻しましたが、まさか自分がこんなことになるとは思っても見なかったと言っていました。
■自分の人生を生きる
子どもの競技サポートは親でなければ出来ないことが多くあります。
出来るだけのことをしてあげてほしいと思っています。
ですが一方で、自分自身の人生も大切にして欲しいのです。
親が自分の好きなことに真剣に向き合ってる姿は、子どもにも大きな影響を与えます。
親が大人になってもより向上していくために努力している姿は、子どもにとって絶大なお手本となります。
サポートに情熱を傾けるのと同じくらいの気持ちで、自分自身の人生にも力を入れてみてください。
新しいことに挑戦してもいいし、読書の時間を増やしてもいい。
作ったことない料理を作ってみてもいいし、英語の勉強を始めてもいい。
何歳からでも、何でも始められます。
子どものサポートをしながら、子どもが巣立ったあとの自分自身を想像して、いろんなことに挑戦出来る準備をしておきましょう。
おススメは「やりたいことリスト100」作りです。
人生でやりたいことを100個書き出してみてください。
子どものことではなく、自分自身のことですよ。
もし難しいと感じたら、体験コーチングを受けてみてください。
すでに「からの巣症候群」かも、と感じた方にもコーチングをお勧めします。
一度きりの人生、思いっきり楽しみましょう!
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