スポーツメンタルコーチ、杉村康之のブログ
不安と仲良くしよう
不安について
アスリートの皆さんは試合や本番で活躍し、結果を出すことを目指し、日々練習を続けていることと思います。しかし、時としてその試合や本番で緊張や不安などで思う存分、本領を発揮できないことがありませんか。
そこには、「失敗したらどうしよう」「負けてしまうのでは」「自分が下手だと思われてしまう」などの不安感がベースにないでしょうか。
私も常に不安と向かい合い続けた人生であったので、漠然と「不安って嫌だな」と思っていました。
しかし、「不安がない人間」って、本当に素晴らしいのでしょうか。
不安という感情がもしなければ、「高い崖の淵で、立っていても何も感じない」「時間に遅れそうになっても急がない」「宿題の期限が迫ってもやらない」という破天荒な人間が想像されます。
ちなみに、不安と言う感情は人の生命を守るためにある、という説があります。
人間が狩猟生活をしていた際、自然に潜む外敵から身を守っていた頃から、不安があることによって、用心をし、命を守って人類が発展してきたということです。
なので、不安という感情を持つ事は正常で、全く悪いことではありません。ここは良く覚えておきましょう。
不安と仲良くなる
そうは言っても不安はプレーに影響を及ぼすこともあるので、ないほうが良い、と思われると思います。時として不安が緊張につながり、身体の動きにまで影響を与えてしまうことがあります。
ところで、一流選手は不安にならないのでしょうか。
先日、ラグビーのトップレベルの日本人選手と話した際、「試合前は不安になります。けど、自分は不安に思っていることを意識します」と話してくれました。
不安である時の心の中は様々な負の感情が渦巻いて、いわば散らかった乱雑な状態です。例えると、乱雑な部屋で、勉強を開始しようと思っても、参考書や筆記用具やノートの場所が分からない中では、すぐに勉強を開始できませんよね。まずは部屋の整理からです。
試合の局面で例えると、まず「自分が気をつけるプレー」「相手の状況」「時間帯」・・・等の要素を「良い」「悪い」は別として頭の中にきちんと並べことが大事です。
心の中も部屋同様に雑然とした状況であることを理解し、そこから整理して、さあどうしようか、となります。
なので、まずは上記の選手の言葉にあるように、自分の不安感を客観視することから始めましょう。
不安と準備
そして、そこからは日頃の準備です。自分はこうしがちだから気をつける。相手がこうだからここを注意する。この局面ではこの戦術で行く、などと選択肢がでてくれば、しめたものです。
自分はよく、試合における準備を、学校の授業で先生が指す人を探しているときの生徒の気持ちになぞらえて話します。そんな時、得てして「指さないでくれー」と心の中で思いますよね(自分はそういう生徒でした笑)
その際に、答えが分かっている、分かっていない、で気持ちの違いはどうでしょうか。分かっていないと、めっちゃ緊張しますが、分かっていると安心していられます。
試合でこの「分かっている」状態、つまり、対応の用意ができている状態だと、より落ち着いて行動ができます。
この準備とは具体的には個人&チームの練習であったり、戦術的な準備であったりします。また、準備のためにノートを活用するアスリートも多いです。
ちなみに、ノートの活用では先日、ラグビー日本代表でデビューしたサントリーの齋藤選手が最近注目されていますね。高校生の頃から、試合前に「アタック面」「ディフェンス面」「その他チーム面」毎に注意点をノートにまとめ、高校・大学そして日本代表で結果を出し続けてきました。
また、言葉使いとしても「不安をなくす」というよりも「不安と仲良くなる」という感覚が良い、と自分は思います。
不安について、「あっまたきた」位に思えるようになれば、気持ちは少し楽になるのではないでしょうか。
そして、心の持ち方は競技スキルと一緒で慣れ(習熟)が大事です。実践→振返り→実践を繰返すことで、身に付いていきます。日々、意識して取組んでみましょう。
ここまで準備について書きました。その準備と実践について、先日書道の先生から書道の構えとして、ある言葉を教えていただきました。
それは「胆大心小」という言葉でした。
「心小」とは神経をとがらせて手本をすみずみまで細かく観察し(準備)、「胆大」とは堂々と思い切って大胆に表現する(実践)ことでした。
「細心の注意を払って準備し、実践は大胆に思い切っていけ」という書道の教えで、アスリートの皆さんにも言える言葉だな、と思いました。
私の経験
私も気持ちにまつわるこんな経験があります。
自分は、ラグビーを中学3年生の時に競技場で初観戦し、その綺麗なパス回しに魅了され、その時から夢中となって追いかけ、今に到ります。
見始めてすぐに、自分もあのジャージを着てラグビーで活躍したいと思い、ある高校でラグビーをすることを夢見て受験しました。結果、不合格でした。
結局、屈折した自分はその後ラグビーをプレーせず、観戦者として今に到り、どこかでラグビーをプレーしたい、という気持ちが心の片隅にありました。
そんな時、京都で伏見工業ラグビー部OBの方が「ラグビー好きなら、一緒にやらない」とタッチラグビーに誘ってくれたのです。
自分はこの誘いの機会に、「今しかない」と思い、思い切ってラグビーを始めました。
練習に参加して、走れない、突き指するは、で情けなかったですが、ひたすら楽しかったです。観客席から見ていたプレーのひとつひとつの意味が鮮烈に見えました。
そして、タッチラグビーを始めたばかりの頃、ルールもスキルも未熟なまま、初試合に挑みました。プレーについて行くのに必死で、気持ち的にかなり追い込まれました。
そして、プレーで転んだ後、必死で立ち上がり、防御のタッチに行った時のことでした。相手チームのベテランのラグビー経験者の方が「ナイスファイト!」と声を掛けてくれたのです。
嬉しかったですね、この一言。正直、当時プレーに自信がなかった自分としては、この一言に勇気をもらい、タッチラグビーをやり続けてうまくなろう!という気持ちが湧きました。その後、競技を続けられたのもこの言葉のお陰であったと思います。言葉の力が自分の心に勇気を授けてくれたのです。
自分の例もそうですが、スポーツのプレーは心の有り様と密接に関わっています。
そう、心との向かい方が変わると見える風景が変わり、競技に向かう気持ちも変わります。
そんな体験をアスリートの皆さんとしたいと思いスポーツメンタルコーチの活動をしています。
以上
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